諫早・楠公神社の奇祭「畳破り」

 楠木正成親子を祭る諫早市白浜町の楠公神社で13日、奇祭「
畳破り」の神事がありました。上半身裸の氏子ら約三十人が畳を引きちぎったわらで互いの体をこすり合い、今年一年の無病息災を祈るももです。
千早城の攻防」(1333年)をなぞらえたとされる伝統行事で氏子たちは神殿に立てこもる“楠木勢”と、神殿の外の“幕府勢”に分かれて、太鼓の音を合図に幕府勢の氏子らが掛け声とともに神殿に駆け寄り、楠木勢が神殿の入り口に立てた畳に突進します。
 双方の氏子らは神殿内で、引きちぎった畳のわらを互いの体に激しくこすり付け合います。
 その後、神殿内で弓矢を的に当て、家内安全や豊作を祈願します。


平成15年1月13日、一週間前の積雪も消え、諫早地方は久しぶりに暖かな陽射しが戻ってきた。
ここは奇祭「畳破り」が行なわれる楠公神社の石段。
ここから本殿まで両脇に昔懐かしいで出店が並んでいた。
出店を通り抜けると、鳥居の向こうに神社はあった。神事が行なわれる13時前から参拝客が詰め掛け境内は賑わっていた。
神社の境内に行く前に、神社の入口にある白浜公民館に立ち寄ってみた。
お祭りの準備をしているのかな、と思い玄関から覗いていると後ろから抱き付かれ中に押し込まれた。あがってお酒を飲めと二人がかりで離さない。とうとうあがった。なかではご覧のとおり酒盛り始まっていた。
私のように祭りを見に来た参詣者が氏子たちに掴まりご馳走になっている人もいた。
すっかり出来上がって眠っている人たちがいる。
この人たちは氏子でこれから始まる「畳破り」の祭事をする人たちだった。
神社の太鼓の合図でこの人たちは裸になり幕府勢として楠木勢と戦うという。
お酒で身体を温め、体力を温存しているのだろう。
飲め飲め、食べろ食べろと急き立てられた。飲むのを一時中断、食べる前に写真を撮った。
豚汁、蕎麦、熱燗のお酒に、焼きたての牡蠣、美味しかった。
なみなみに注いだお酒は飲み終わるまで傍で待ち、また注いでくれた。
ほろ酔い機嫌で、神社に戻ると境内では白浜地区の子供会が参詣者に破魔矢と紅白の餅を売っていた。
太鼓の合図で楠木方は鎧に扮した藁を頭からかぶり、畳を盾にして攻め入る幕府勢に備えた。
合戦は始まった。幕府勢は畳を押し倒し神社に乱入する。双方入り乱れて畳のむしり合いで、藁屑のほこりが舞い息ができないほどである。
もうこうなると裸同士の戦いで敵味方はわからない。掴んだ藁を相手の身体に擦りつけ背中には擦りあとが赤くなっている。
まもなくして盾代わりの畳は原型の姿はなく藁屑になってしまった。
外では、孟宗馳竹にくくり付けたロープをたたき、気勢をあげ戦意高揚をけしかけている。この人たちは氏子の奥さん達のようである。

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