みちのく紅葉の旅(1)

旅   程

1日目(10月15日)

諫早駅6:47)かもめ2号⇒博多駅(8:49)ひかり100号⇒東京駅(14:43)つばさ133号⇒山形駅(18:14)貸切りバス⇒天童温泉(18:40泊)

2日目(10月16日)

天童温泉(8:00)貸切りバス⇒古口(9:30)最上川船下り⇒草薙(10:30)貸切りバス⇒(12:50)稲川町にて昼食(13:40)貸切りバス⇒(14:40)角館・小京都、武家屋敷など散策(15:30)貸切りバス⇒(15:40)抱返渓谷散策(16:30)貸切りバス⇒水沢温泉(17:45泊)

3日目(10月17日)

水沢温泉(8:00)貸切りバス⇒(8:10)田沢湖畔散策(8:40)貸切りバス⇒八幡平アスピーテライン(9:45)貸切りバス⇒(10:10)八幡平山頂(10:35)貸切りバス⇒(11:50)鹿角にて昼食(12:50)貸切りバス⇒(14:15)ミニ白神山地遊歩道散策(15:55)貸切りバス⇒大鰐温泉(17:30泊)

4日目(10月18日)

大鰐温泉(7:30)貸切りバス⇒(8:10)黒石りんご園にてリンゴ刈り(8:40)貸切りバス⇒(9:10)城ヶ倉渓谷展望(9:15)貸切りバス⇒八甲田ロープウェイ駅(9:45)ロープウェイ⇒(10:10)八甲田山頂(10:20)ロープウェイ⇒ロープウェイ駅(10:40)貸切りバス⇒(11:00)城ヶ倉にて昼食(11:40)貸切りバス⇒(12:10)奥入瀬渓流散策(13:00)貸切りバス⇒(13:10)子の口(12:30)十和田湖遊覧船⇒休屋(14:20)貸切りバス⇒発荷峠(15:00)貸切りバス⇒鶯宿(18:00泊)

5日目(10月19日)

鶯宿(7:20)貸切りバス⇒(9:00)中尊寺(10:00)貸切りバス⇒一関駅(10:54)やまびこ40号⇒東京駅(14:03)ひかり127号⇒広島駅(19:16)ひかり387号⇒博多駅(21:02)かもめ45号⇒諫早駅(22:41)
今回の旅行記はオムニバス形式に纏めてみました。

☆ はじめに

人はどうして 北にあこがれ

人はどうして 旅に出るのか

流れる雲の  地図をたよりに

私もまた 北を旅する。

・・・・・ ・・・・・・

これはみちのくに来て4日目、十和田湖遊覧船に乗船する際に貰ったパンフレットの中の一節である。
 まぁ〜何と、私の胸のうちを見透かした詩ではないか。

今回の旅は、近畿日本ツーリストが企画したツアーで『みちのく紅葉八景』のタイトルがついている。このツアーはフルムーンパスを使って夫婦一緒に旅をするという条件がついていた。

私は好きな山歩きで家を留守にすることが多い。いつも留守番役の妻に感謝の意を込めての参加であった。

☆ 最上川の船下り(10月16日 雨時々くもり)

昨夜、山形駅に着いたのは18時40分。改札口を出ると黒いスーツ姿の男性の後に付いて駅前広場に出た。あたりは暗くネオンのきらめきで街並みの様子をうかがい知ることができた。駅前広場にホテルの送迎バスは待っていた。

夫婦18組36名は2台のマイクロバスに乗って、最初の宿泊地、天童温泉に向った。改札口まで出迎えに来てくれていたスーツ姿の男性はバスの運転手でもあった。

昨夜、夜半からから降り出した雨は夜が明けても降っていた。秋の空は天気予報とは違い気まぐれである。雨だから明日に延期というわけにはいかない。いよいよ強行軍のスタートである。

ホテルを出発して船下りの乗船地古口に着いたのは9時半。1時間半バスに揺られながら、川の流れや山の景色を眺めていた。

山は行けども行けども紅葉の気配はない。最上川の流れはゆったりとして、ここが日本三大急流の川だろうかと疑いたくなるほどである。

乗船地に着いたとき薄日が差し雨もあがっていた。遊覧船は何艘も係留されていて、船の名前はすべて『芭蕉丸』、頭に第1、2,3、・・・・と冠がついていた。幾組もの団体が押しかけていたがグループ毎に一艘を貸切っての乗船となった。

乗船する間際、船頭笠に法被を着たおじさんに写真を撮らせてとお願いしたら直立不動の姿勢でかしこまってしまった。

私たちの船の船頭さんもガイドさんも、法被は着ていたが笠は被っていない。何となく張り切った気分をそがれた。

いよいよスタート。船外機のエンジンの音がして動き出した。櫓をこぐ姿を期待していたがこれまた当て外れ、松尾芭蕉さんもあの世で嘆いているかもしれない。この現状を芭蕉さんはどう詠むだろうか。

ガイドさんは舳先に座りお客に向って案内をはじめた。

最上川の流れは、表面上はゆったりとしてどちらが川下かわからないほどです。これがどうして日本三大急流なのかと思うでしょう?

水深2、3メートル以下の所では流れが速いのです。またこれから川下12kmの区間には橋はありません。だからこの船は橋の下は潜らないのです。

珍しいでしょう?
 そこでみんな考え込んでいる。ガイドさんは一呼吸おいてから言った。
「川の向かい側には人が住んでいないから橋は要らないのです」
みんな笑った。このガイドさんまだ若いが話術がうまい。それに東北訛りが時々出てきて面白い。

10分も下ったかと思うころ、だれも住んでいないはずの向こう岸に家が見えてきた。

「あそこはトイレ休憩の場所になっています。船を止めますから用を済ましてください」

乗船する前、バスのガイドさんからトイレは船に乗る前に済ましておくようにと念を押されて今のところ用はないのだが、と思っていると、

「トイレ休憩は口実で、みなさんにお土産を買っていただく売店でございます」ときた。

お土産ばかりではなく、ビール、焼きイカ、鮎の塩焼き、きりたんぽなど等酒肴が揃っている。ガイドのうまい話術に乗せられて繁盛した。

再び船は動き出した。

雨が降り出しガイドさんは屋根から舳先にかけてビニールで覆った。雨はすぐあがった。

ガイドさんは案内を続けた。

「皆さんご存知の有名な俳句『さみだれをあつめてはやし最上川』はこの川でございます。川くだりに来ていただくお客さんは外国の方もいらっしゃいます。わたしどもは英語、韓国語でも案内しています。では今日は英語で俳句を紹介しましょう」

わざとなのか、本気なのか、言葉が流ちょうでない。
「横文字の上に振り仮名をつけ覚えた発音ですから外国の方にはわからないでしょう。やっている本人も何言っているのか分かりません」

みんな笑った。

川下りの終わりに近付いたころ、最上川音頭を歌ってくれた。日本語で唄った後、
「こんどは英語で唄います。はやし言葉は英語に出来ませんから日本語です」

英語の俳句と同じで歌っている若いガイドさんも何を言っているのかわからないふうであったが笑いと大喝采が湧きあがった。

唄い終わったころ、船は船着き場に近付いていた。

紅葉の見ごろには出会えなかったがガイドさんのおもてなしで川下りは充分に楽しめた。

次回をお楽しみに

川くだり入場門
緊張してしまった船頭さん
英語で俳句、民謡を唄って盛りあげてくれたガイドさん。
対岸の家は名目上はトイレ休憩所
船から注文するお客さん

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