伊根の舟屋

平成15年11月23日

 宿のカーテンを開けて外を眺めた。
 東側の窓の外は朝陽が輝いているが時雨れている。今日の天気は晴れなのか雨なのか想像がつかない。

 今日は昨日取りやめた念願の伊根の舟屋と出石町の城下町の観光である。
 伊根までは岩滝町の宿から片道おおよそ1時間の道程になる。伊根の舟屋観光を終え再び宮津に戻ると半日が潰れてしまう。その後、宮津から出石町までも1時間はかかるだろう。

 計画を消化するには、かなり忙しく走り回らなければならないがマイカーの旅はいつでも予定変更して気ままに行動できるから、その点気楽である。
8時50分に宿を出る。時雨はあがり太陽が輝いている。今日の天気はこの調子だとよいのだが・・・・。

 車に乗り込むと「天橋立の松林を歩いて渡ってもいいよ」と息子が言う。宮津側から北の方角になる岩滝側まで歩いて30分もあれば散策が楽しめるそうだ。散策すれば車は伊根に行く途中だからそこで待っていると言ってくれたが家内は歩く気持ちがなく、歩きたいのは私一人だった。一人のために時間を潰すのも気がひける。歩かないことにした。

 天橋立には昨日夕方4時ごろ着いた。展望所に登るにはモノレールとリフトがある。モノレールは運転間隔が長く待ち時間が長い。リフトはいつでも運転しているからすぐに上がれる。リフトにした。

 車で移動している間、寒さは感じなかったが、からだ一本空中に放り出された格好でリフトに掴まっていると冷えた鉄パイプから体温を吸い取られるようだ。寒さに耐えること10分、展望所に到着。

 4時過ぎという時間帯からなのか、曇り空で寒いためなのか見物客は少なかった。年配夫婦が股覗きをしていた。帰ってからの孫のお土産話にでもするのだろう。私は恥ずかしさが勝りその勇気が出なかった。

 眺めるのに時間はかからない。寒さに震え上がり5分ばかりでまたリフト乗り場へ引き返した。今度は正面に天橋立を眺めながらリフトで降りた。
短時間の天橋立見物はあっけなかった。晴天の日に眺める景色は昨日よりよいだろうなぁと思いながら伊根に向けて走った。

国道178号線は、若狭湾の海岸線をなぞるように曲がりくねっている。
道の駅『舟屋の里公園』に約1時間で着いた。

道の駅『舟屋の里公園』から見下ろした伊根湾。
朝日を浴びる西海岸の舟屋の街並。
道の駅『舟屋の里公園』から見下ろした伊根湾。
朝日を背にした東海岸の舟屋の街並。
舟屋の里公園から車で海岸線へ降りた。小型乗用車がやっと離合できる程の道幅しかない。
道を挟んで両側とも家が数珠つなぎにつながっている。
家は、昭和初期の車道拡幅整備の折りに建て変わったものも多く、それまでは藁葺きが主流だったという。 道路整備前までは、海側が表玄関で、反対側が“裏”であったが、今は海側と道路側との両方に玄関を持つことになったとのこと。
歩くと、所々に瀬戸家の隙間から見える切り取られた海と舟の景色が何とも新鮮である。
「伊根の舟屋は基本的に住宅です。その家で普通に居住されている方がほとんどですので、勝手に家の中を覗きこんだりするのはご遠慮ください」舟屋の里公園で尋ねた売店のおばさんの言葉が気になり、この通路へ入って行けなかった。
係留された作業船に乗り込み東側の家並みを撮る。
係留されたイカ釣り船のランプ越しに舟屋を写す。
西側の船屋の街並み。

パーキングに車を止め写真を撮っていると、管理人のおばさんがやって来て、駐車料金を請求した。
ほんの少しの間写真を撮るだけだからと運転している息子が言ったら快く見逃してくれた。
私はパーキングを走り回ってシャッターを押した。
朝陽をまともに受ける西側の街並み
パーキングより写す。

伊根湾にただ一ヶ所あるパーキングで釣りを楽しむ人たち。
透明度が高く、獲物(イカ)も餌も海底までも丸見え。
潮時が悪いのか成果はないようだ。
釣り人は辛抱強く待ちつづけていた。対岸は舟屋の街並み。
ちなみにパーキング料金は1日500円
舟屋と漁船。
舟と家の土間の間隔は1メートル足らず。渡し板の通路で漁獲の籠を運んでいた。土間の作業場には親子らしい男性二人が働いていた。
この写真が伊根で一番至近距離から写した舟屋の写真。
 映画「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」の舞台となった伊根の漁村は、いま舟屋の二階を民宿に改装し、観光に力を入れる時代の変遷も感じられた。
舟屋の二階にゆっくりと泊り、伊根の魚を楽しむのもいいだろうなぁと思いつつ、舟屋の里を後にした。

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