晩夏のころ

お盆が過ぎ、全国高校野球が終わったころ、アキアカネトンボが今年も空を遊泳し始めた。日中はまだまだ暑くてもこの情景を見ると、わたしは晩夏を感じる。

特に今年は、お盆を過ぎてまもなく北の高気圧が九州まで張り出したため、強い陽射しながら風が爽やかで、特に朝晩は冷え込んで凌ぎやすい日が続いた。

今年の夏もこれで峠を越した、と無事に乗り切った安心感からホッとしている。

年齢のせいかもしれないが、熱帯夜から開放され、熟睡できた朝の目覚めは早い。床に横たわったまま、この夏の出来事を振り返ってみる。

どれをとっても身近なこてばかりであるが、特に春先から発病した円形脱毛症は依然として進行中で、現在頭髪の三分の一が抜けた状態になっている。これから先どこまで症状が進むのか不安で、丸坊主になった暁には庵で隠とん生活でもするか、と冗談とも本気ともとれる思いで考え込んだりする。

現代医学ではまだ的確な治療法がないらしく、気休めとしりながらの病院通いである。

一方的に郵送された11桁の背番号のはがきは、現在ほかの手紙類と一緒に状差に突っ込んだままである。世間で騒いでいるように他人に漏れて悪用されるような大切なものなら、預金通帳やキャッシュカードなどと一緒に保管しようかと思わないでもないが、そこまではふんぎりがつかない。

本人は使う当てもない番号をもらって迷惑しているというのが実情で、ボケて置き場所を忘れないうちに一層のこと焼き捨ててしまおうかと思わないでもないが、これまたその決断が付きかねている。

雪印食品に続いて今度は日本ハムの偽装が問題になっている。どちらも国産牛肉買い上げ制度を悪用して税金で会社の利益をあげていた。牛海綿状脳症、食肉の偽ブランド販売と食肉業界の信用は落ち、消費者からそっぽを向かれている。

肉をはじめ、ハム、ソーセイジと食卓から姿を消し、ときには食べたいと思うこの夏であった。今のところ魚と野菜で胃袋を満たしているが、これとて詮索すれば疑いはある。

漁獲地(天然もの)、生産地、農薬使用の有無など表示を信用して食べているわけではないが、食べないと生きていけないから仕方がないのである。

暗い話題ばかりでは申し訳ない。明るい想い出をひとつ。

7月の下旬、南アルプスを歩いた。まだ富士山には登ったことはないが日本で二番目に高い北岳に登った。快晴に恵まれ冨士山をはじめ仙丈ヶ岳、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳とそれぞれに趣のある山容に見惚れ、綺麗な空気を吸って下界の雑念を忘れた3日間であった。

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