葛 藤 
 H13・6・25

初夏の季節になると、また私の悩みが始まる。

冬の間どこで過ごしていたのか、小さな蛾が飛んできて新緑の間を飛びまわる。
何年か前までは新緑に戯れ遊んでいるとばかり思って眺めていた。
7、8年前、庭のモッコクと五葉の松が葉巻虫の大被害に遭った。そのことを出入りの造園屋さんに話したら、新緑の間を飛び回っている蛾はただ戯れ遊んでいるのではなく卵を産み付けるのだという。

葉巻虫の幼虫は、モッコクや五葉の松の新芽が好物なのか集中して寄生するようだ。

造園屋さんの説では、新芽が出揃ったころに予防として薬剤散布しておくと葉巻虫の発生は少ないという。夏の間は一回だけではなく何回も散布したほうが効果はあると教えてくれた。

翌年には教えられたとおりに数回散布して被害はなかった。

ところが秋風が吹き始めるころになって、いつもの虫の鳴き声が聞こえないのに気付いた。

その次の年には虫の発生予防ではなく、葉巻虫が発生してから駆除することにした。そうすれば薬剤散布の回数が少なくてすみ、秋に鳴く虫たちの被害は少なくなるだろうと考えたからである。

葉巻虫の発生した様子は新芽のあたりが絡まり日数が経つと褐色に枯れてくるから判断がつく。今年も、新芽が閉じて葉巻虫が発生しつつあるのが分かる。

「いまのうちに駆除しないと」と焦る私と「まだ我慢しよう」と諌める私の闘いは、これから日一日と激しくなりそうである。

思記草に戻る