体調不良の往復縦走

                      若杉山〜三郡山、福岡山域)
                
H12.6.24〜25 参加者9名

 

若杉山登山口から三郡山までの折り返し縦走。往きは四時間二十分、帰り
は四時間で長丁場の体験は、五月はじめの韓国岳から高千穂峰までの十時間
の縦走に次ぐ二回目の体験であった。

ピークを四つ越える上り下りはそれぞれに土質に変化があり、濡れた岩に
滑り、ぬかるんだ粘土に足ととられ、雨こそ降らなかったが前日の雨をたっ
ぷり含んだ地面に泣かされた。

この日は出発から帰り着くまでほとんど霧がかかったていた。雨は降らな
いのに樹葉から雫が落ちてくる。空気を絞れば水が滴り落ちそうな、と表現
をしてもよさそうな梅雨時の高い湿度である。身体から噴出す汗も樹林の雫
に負けないくらい額から落ちる。サウナ風呂の中をを歩いているようであっ
た。

今回は私にとって、これまでに経験したことがない体調の悪さであった。
出発から足取りが重く体が気だるい。それは湿度のせいなのか、蒸し暑い
夜を寝袋なしでごろ寝したせいなのかと原因を考えながら歩き続けた。

目標の三郡山までは四時間である。一時間も歩けばエンジンがかかるだろ
うと期待したが調子が出ない。二時間過ぎたころから後頭部と首に激痛が走
り、首を回し前後に屈伸しながら何とか痛みを紛らわそうとする。

しかし、解消するどころか痛みは増していくばかりである。ザックは家を出
るときの計量で7キロあった。登山口で積み増し10キロばかりの重さであ
る。この重さはこれまで二時間ばかりの行程では何事もなく運んでいる。

パーティーを振り返るとみんな元気である。このパーティーでは若者の部
類である私が弱音を吐いては恥ずかしいという思いで躊躇していたが、三時
間が過ぎたところ意を決して異常を申しでた。

それは目的地まであと一時間はかかり、また折り返しの四時間の長丁場のこ
とを考え、ここでくたばってはいけないと思ったからである。
体調を説明し
、リーダーのIさんに荷物の一部を持ってもらうことにした。これで首の
痛みは軽減された。

なんとか三郡山の目的地に着き昼食となったが食欲がわかない。とはいっ
ても復路の四時間の体力を維持するためには詰め込んでおかなければならな
い。無理に握り飯を詰め込んだ。

折り返して一時間が過ぎたころから胃のもたれの感じが痛みに変わった。
前屈みで歩き続ける姿勢を変え、背を伸ばし深呼吸をしながら歩き、また水
を飲み何とか痛みが取れないものかと試みた。しかし効果はなかった。深呼
吸をすると肺が痛み苦しくなってくる。

坂を登る息遣いがいつもと違う。咳き込まれた感じだ。弱り目に祟り目と
はこのことであろう。情けないが多くは考えるまい。前の人の足元を見つめ
、ただ足を交わすことにした。どうにか帰り着くことはできたが疲労は限界
にきていた。

予期せぬ体調不良に出会ったとき、我慢して限界まで耐えるのか、見栄と
意地を捨て早めに申し出るか、決断の時期に苦しんだ縦走の一日であった。
また足腰を鍛えることだけを考えトレーニングしていたが、荷物を担ぐ肩の
訓練もしておくべきだと痛感した一日でもあった。

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