平尾台・貫山、太平山、周防台


◆期  日  2005年11月6日(日)

◆行  程 諫早駅裏ロータリー6:20⇒諫早インター6:50⇒小倉南インター9:10⇒9:26吹上峠9:50⇒大平山10:30⇒四方台11:20⇒11:47貫山11:55⇒12:10昼食12:30⇒12:40四方台⇒13:07中峠⇒13:30周防台13:45⇒14:25茶が床園14:35⇒14:40ビジターセンター15:05⇒15:25小倉南インター⇒17;40諫早インター⇒18:00諫早駅裏ロータリー
 自然は人間の力ではどうにもならないことは承知しているが少しでも自分に都合よくなってもらいたいと望み期待している面がある。

山歩きの計画は2ヶ月前から決めている。その日が近まり数日前になると天気予報が気がかりでしようがない。

今年の秋は、ここ長崎地方は雨が少なく晴天続きであった。ところが待望の雨の予報は山歩きの日と重なってしまった。喜んでよいのやら悲しむべきか複雑な心境である。

遠出の山歩きは、いつもマイクロバスを予約する。大雨か台風でない限り中止することはないのがわがハイキングクラブの伝統だ。

少々の雨では予定通りに出発し、現地に着いてはじめて実行か中止を決める主義である。

我が家を出るときすでに雨であり、現地も雨の予報であっても現地は晴れているかもしれないという理屈である。これは長年の経験によるものでまんざら屁理屈ではないらしい。

諫早を出発するときすでに雨は降っていた。しかし、わがクラブの伝統に従って躊躇なく平尾台へマイクロバスは走った。今日は午後から雨は上がると期待の持てる予報ではある。

福岡市内へ差し掛かったころから雲が切れ、時折朝陽が差し込み一行24名の心は晴れやかになった。しかし、北九州は低い雨雲が垂れ怪しくなってきた。小倉南インターを出て、吹上峠に着いたとき雲は低かったが雨は上がっていた。

三グループに別れそれどれの班毎にストレッチ体操をする。


コンビニで朝飯はおにぎりを2個買ってバスに乗り込んでいた。普段の朝食はいつも7時30分前後、その時間に合わせバスの中で食べた。
吹上峠に着いたのは9時30分、昼食の予定はきょうの最高峰の山・貫山(712m)で12時10分である。
朝飯から昼飯まで5時間もある。この時間を歩き通すにはエネルギー不足になりそうだ。バナナは消化が良く即エネルギーになるので出発前にバナナ1本食べた。
腹こしらえをしていよいよ出発。なだらかな登り勾配で足慣らしにはちょうどころあいの路である。路とはいってもご覧のとおり防火帯を野焼きした土で歩きやすいところだ。
歩いて10分が過ぎたころ立ち止まり後ろを振り返った。
ご覧のような雲海である。
この雲の下は持っている地図によると鱒淵ダムになる。
この雲の様子から天気は回復に向かっているような感じだ。何となく元気が出る。
第一のピーク大平山(587m)に近づくにつれ石灰石の群れの中を縫うようにして登って行く。
薄雲から差し込む太陽で石灰石がまぶしい。
(中腹からスタート地点方向を望む)
中腹から上を眺めると大平山まで白い石の連続である。
このようなコースを歩くのは初めてで樹林の中を歩くのとはまったく気分が異なる。楽しさだけで疲れを感じない小学生の遠足のようでな気分である。
大平山山頂で一服、南斜面に広がる羊群原を見下ろす。
羊に似た石の群れの多さに、羊群原とは的を得た表現だと感心した。
大平山を少し下り、右手方向からの羊群原は羊を側面から見た感じで斜面をいっせいに登っているような姿に見えるから不思議である。
大平山を一旦降りて鞍部から四方台までは野焼きした防火帯の急坂に変わる。白い岩石ロードから黒灰ロードへと目先の変化が面白い。
防火帯の中央の白い線は登山路になっているが昨夜からの雨で粘土質の地面は滑りやすく、両脇の焼け跡の黒い土の部分が歩き易い。

画像が小さくて、はっきり確認できないのが残念だが、鞍部を過ぎ登り坂に差し掛かった所を一列になって登っているのを再度目を凝らして見ていただきたい。
四方台の分岐を直進し、貫山をめざす。前方の峰が貫山。ガスがかかり怪しい天気になってきた。
このコースは赤土で赤いロードとでも名付けておこうか。一刻一刻時間の経過とともにガスの量が多くなり、到着前に雨になった。南からの風も強い。
山頂到着は予定より15分も早い11時45分。ガスと雨と風の山頂では視界はまったくゼロ。
先着の男性3名は昼食を摂っていたが途中で食い止め下山を始めた。
とてもここで昼食を摂る状態ではない。急いで雨具を取り出し雨対策をする。山頂を逃げるようにして下山する。
四方台の近くにヒノキの植林があった。そこまで下って雨と風を避け昼食をすることにした。風はないが葉っぱから落ちる雨滴は雨よりも粒が大きく、傘を差さないとおにぎりが濡れる。傘を差して立ったままの食事となった。
傘を差し立ったままの食事をこれまでに3から4回は経験している。今日のことも時が過ぎれば良い思い出となるだろう、と良い方向に解釈することにした。
あわただしい食事のあと12時30分、四方台の分岐へ出発する。
四方台の分岐から左折し、中峠の道路へ下りる。峠は鞍部になっており再び急な斜面を登らなければならない。上がり着いたところが周防台(606m)である。
このコースは白でもなく、黒でもなく、赤でもなく、今度は緑ロードになる。低い草を踏みつけた跡をなぞって進めばよい。その草路は一本の線となって遠くまで見える。幸いに雨とガスはあがって明るくなった。しかし、南からの風はこれまで以上に強くなり歩きにくい。
南からの横風に身体を預けるようにして前に歩いていく。風は気まぐれで気分屋である。強く吹くかと思えば急に弱くなり、預けている身体はツッカイ棒を外された状態になり横に倒れそうになる。風の強弱に気を使いながら歩くのはトレーニングでも経験していないだけに大変な苦労であった。
中峠から草道を這い上がるようにして登り、途中で休憩。
ここは風の通り道でないのか無風状態になった。
これまで汗を拭ってくれていた風がなくなると、今度は汗で身体が濡れた感じである。着込んでいた上着を脱ぎ衣服調整をした。
後ろを振り返ると、大平山の稜線が美しい。朝スタートした地点は左端、頂上は大平山の山頂になる。山腹には羊の群れを思わせる石灰石が白く光っている。画面中央の鞍部が中峠。
草道から野焼きした防火帯へコースが変わると、周坊台はあと一息。先頭はもう到着したようだ。
30分前の強い風は納まり、静かな山頂である。
苦労して登ってきた割に山頂の標柱の何と貧弱なことか。それに文字も消えかかってはっきりしない。
少し天気は回復してはいるが視界は悪い。
東の方角に周防灘がかすかに見え、北九州空港の埋立地も霞んでいる。
休憩15分で13時45分下山開始。
バスが待機している茶が床園の登山口までは40分もあれば帰り着く予定である。
下山のとき雨衣は脱ぎ身軽な服装になっていた。
あと5分もすればたどり着くという地点でにわかに空が黒くなり雨が降り出した。これは通り雨だろうと判断して雨衣を着るのをためらった。すぐ到着するのにいまさらザックをおろし雨具を出すのが面倒だ、という気持ちが強く我慢して下った。ほかの人たちはあわてて着込んでいた。一向に雨脚は弱くなる気配はなく、だんだんと強くなるばかりである。
とうとうザックをおろし雨具を着込んだ。しかし、すでに手遅れで衣類は濡れている。
バスに着いた時、ヌレネズミの状態であった。
途中、ビジターセンターに立ち寄った。皆が見学している間に、バスの中で下着を取り替え気分は少し落ち着いた。
いつもは温泉付だが今日のコースは近くに温泉がないのでこのまま帰るという。こんなときこそ温泉で温まり気分転換すればよいのに、と温泉嫌いの私は不満だった。これが天邪鬼というのだろう。

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