梅雨の金泉寺

山行日  平成十五年6月22日 雨
山 域  多良山系 金泉寺

清掃登山は、10時半に終わった。きょうのクリーンハイキングに参加したのは16名。清掃登山とはいっても、いつもと変わらない装備をしている。この格好をしていて二時間足らずで家に帰るのは物足りなくて消化不良気味の者ばかり。

仏の辻登山口から金泉寺登山口(高来町・轟の滝上流)まで車で移動した。山腹をほぼ水平にトラーバースした林道を走ること20分で金泉寺登山口に到着く。

 反対側の黒木側(大村市)からだと金泉寺まで1時間半はかかるが、このコースはわずか30分足らずで登ることができる最短コースである。

朝から小雨降る梅雨空で、今も降り続いている。雨衣を着込んで出発した。登っている30分間のあいだ、次から次へと下山してくる人に出会った。15,6人の班編成で、迷彩服を着た陸上自衛隊さん達である。また一般人のグループの中に2、3名の自衛隊さんが混じっている組もあった。

金泉寺に着いてみると山小屋も広場も登山者で溢れていた。一体今日は何の日だろう?

小雨降る中、長崎ゆめ総体(インターハイ)・登山競技の支援隊の人たちで賑う金泉寺

時間は11時半。山小屋の軒下を借りて昼飯を食べる予定であった。しかし、この状況ではそれも望めそうにない。登山者は20代から40代の人たちで若さが伝わってくる。ただ休憩しているだけで食事をしている人はいないようだ。

休憩した後、出発するグループがあるかと思えば、同じ人数ぐらいの人たちがまたやってくる。人は代われど数は一向に減らない。小屋と広場には常に7、80人はいる状態である。

ベンチが空くのをみて急いで腰掛けた。弁当を食べ始めると、目の前の椅子に中年の男性が座った。真正面に座った人の胸には『○○班支援隊長 ○○○』と名札か付いていた。「きょうは何の行事ですか?」私の問いかけに、
「インターハイの下調べをやっています」と言った。

金泉寺広場で昼食を摂る人たち

今年の全国高校総体は、長崎県であることは知っている。マスコミはあと40数日だと毎日カウントダウンして県民の盛り上がりを煽っている。

登山競技は、この多良岳山系で行なわれるとのこと。この競技を支えるグループの人たちだとわかった。長崎県内の方たちですか、と尋ねると「いや、県外から沢山きていますよ」と言い、自衛隊と一緒になって行動、予行練習をしているところだと話した。食事中も自衛隊の無線班は本部との交信を取り合っていた。よく観察すると、班ごとに赤十字の腕章を付けた衛生兵が2人付いていた。

黒木から経ヶ岳経由でここに辿り着き、昼食後は五家原を経由して下山するそうである。登りがけに出会った自衛隊さんたちもみんなこの支援隊の人たちであった。

高校総体は、テレビでみるかぎり華やかさばかりが目に付くが、こうして雨の中、苦労して支援している人たちのいることはあまりマスコミは報道しないからみなさんは知らない。

登山競技を支える支援隊の人たちに山の仲間として声援を送り、身近に感じた金泉寺であった。

雨で水溜りが出来た広場。もう何回となく金泉寺に来ているがこのような水鏡は初めてである。

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