鹿もいる八郎岳

山行日 2003・3・10
天 候 うすぐもり
コース 登山口(墓所)⇒八郎岳(590m)⇒小八郎岳(584m)⇒乙女峠⇒登山口

市民菜園駐車場に着いて、車から装備を降ろしているとき、一足早く着いていた3人のパーティーが「ここには鹿がいますよ。運がよければ出会うかもしれません」と教えてくれた。その人たちは準備運動をしている間に出発した。

野生の鹿がいるとは長崎市街に近い山だけに想像もしていなかったが出会えたらいいなぁと思った。登る楽しみがまた一つ増えるとは結構なことである。

今日のメンバーは、パソコン同好会とシニアネット諫早の登山クラブの合同山行で8名である。そのなかには今日初めて顔合わせする人が2人。回を重ねるごとに人数が増え楽しい山行になりそうだ。

長崎市街の中心部を通り抜け、野母崎半島に向ってマイカー2台は、おおよそ30分で平山バス停に着いた。

ここから左に狭い道を登っていく。普通車がやっと離合できる程度の道幅で曲がりくねっている。長崎は坂の多い町で、長崎特有の免許がないと運転ができないくらい難しい道が多いが、この道もご多分に漏れず,よそ者は神経をつかう道である。

5分ばかりで八郎岳登山入口の立て札が見つかった。しかし、ここには駐車場はない。更に狭い道を500mぐらい登り、やっと市民菜園駐車場に着いた。

休日には、長崎市民にとって身近な山だけに登山者も多いことだろうが、今日は月曜日で3台の車が駐車しているだけだった。

駐車場から登山道まで逆戻りして登山開始。登山口はお墓の脇を通らなければならず、縁起が良いのやら悪いのやら、どう解釈すればいいのか迷った。


登山口は墓所と同じ階段を登る

このメンバーは、ピークハントより、眺めを楽しみ、ときにはビヂオを廻し、写真のシャッターを切るのんびり形で、山頂まで2時間を目標にする。

7合目あたりまでは、自然林が続いたが頂上付近になって、杉や檜の植林帯に変わる変則な感じの山だった。急坂も難所も少なく楽なハイキングコースである。

登りはじめて1時間が経っても手先が冷たく体が温まらない。昨日あたりからの寒の戻りが今日も続いて冷たい風が吹いている。

山頂に着くと幼稚園児たちが賑やかに騒ぎながら昼弁当を食べているところだった。引率の先生2人に園児が20名ばかり、元気よく挨拶してくれた。


幼稚園児たちで賑わっていた山頂

山頂は草原で360度視界は開けている。西方向には、眼下に三菱造船のドックがある。白と赤に塗った大型クレーンの下には、建造中に火災を起こしたあの「ダイヤモンドプリンセス」もドックに入っていた。

軍艦島と言われる端島、高島、東には天草、北には多良岳、山頂が白く冠雪した普賢岳の姿もはっきりと見えた。


三菱・香焼ドック。
赤白の大型クレーンの下でダイアモンドプリンセスは改装中

海上遠方に浮かぶ島
右端は高島、左端の小さな島は端島(軍艦島)

 食事中に園児たちは挨拶をして私たちより先に小八郎に出発した。

食事中に、犬の吼える声と銃声が聞こえた。たぶんここは禁猟区のはずだが、と思ったがこの銃声の意味はあとで納得できる人に出会うことになる。

昼食後、私たちも小八郎に向かった。急坂を一旦降りてまた登る。30分で小八郎に着いた。園児たちとここでまた一緒になった。園児たちは北方向に、私たちは南の乙女峠に降りた。


八郎岳山頂の案内柱

小八朗岳から見た八郎岳

ツツジの低木と、背の高い萱の道はやぶこぎのようで、いまは冬場だからいいものの夏場は歩きにくいコースのようだ。樹林の中で、一人のハンターにであった。腕に狩猟許可の腕章を付けていた。このハンターいわく「鹿が繁殖しすぎて、農作物に被害が出ているため特別許可で猟をしているところです」。これでさっきの銃声の原因は解決した。きょうはまだ収穫はないようである。

乙女峠で休憩していると、ワラビをビニール袋にたくさん入れた3人組に会った。歩くことに夢中で、やぶの中にワラビがあるところまでは気が付かなかった。冷たい風は吹いているが日当たりのよい地面にはもう春は来ていたのだ。


乙女峠から見た小八郎岳

乙女峠からは谷伝いに降りる。足場が悪いところもあった。沢に出て小さな滝もあった。八郎岳を出てから2時間で駐車場に戻って来た。


乙女峠⇒小八郎岳⇒八郎岳コースの登山口

あちこちに鹿の被害から守る防護ネットが張り巡らされていたが、鹿にはとうとう出会えなかった。吼える犬と銃声に怯え遠くに逃げたのであろう。

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