初秋の雲仙(矢岳・野岳)

山 行 日   平成14年9月20日

場   所   長崎県島原半島

山   名   雲仙・矢岳(971m)雲仙・野岳(1024m)

コ ー ス   清七地獄(10:20) ⇒ 矢岳登山口(10:45) ⇒ (11:15)矢岳山頂(11:25)⇒ (11:50)矢岳登山口(12:30) ⇒ (12:40)仁田峠(12:50) ⇒ (13:00)野岳(14:00) ⇒ 仁田峠(14:20)⇒小浜・海上温泉(15:00)



 矢岳は去年12月納山会で登って以来である。
 国道57号線沿いにある清七地獄の遊歩道から登りはじめた。標高が高いから涼しいだろうと決め込んで歩き出したが照りつける太陽と地獄から湧きあがる熱気でまたたくまに全身から汗が流れる。ふつふつと音を立て噴出すガスに不気味さがある。

地獄の中の遊歩道を通って、登りはじめた。正面が矢岳。
 地獄を通り抜け、登山道に差し掛かる少し手前で「道路陥没のため通行止め」の柵に阻まれた。
そこから引き帰し、また噴気の立ちこめる地獄の遊歩道を歩き別のルートに変えた。地獄を過ぎると、いよいよ坂は急になり山に登りはじめたという感じがしてきた。

地獄を通り過ぎ、しばらくして後ろを振り返るとレンガ色のホテル街が周りの緑とマッチして美しい。
 木陰で休憩。Kさんが噴気で蒸した卵を一つずつ配った。遊歩道の傍で売っていたのを買ったもので10個で500円だそうである。貰った卵は熱くて、素手では長く持てない、慌ててもちかえた。
 矢岳登山口の案内板があるところまで駐車場から45分もかかってしまった。観光気分でゆっくり歩いたからだ。
 山頂までは樹林帯が続き涼しい道になる。山頂まで同じ勾配の登りで、階段のおどり場のような平らな場所がなくて精神的な疲れが大きい。
樹林の切れ間から左手に視界が開け、妙見岳とその先には赤茶けた山肌の平成新山が見える。手前は雲仙ゴルフ場。
 去年の暮れ、ここに来たときは道は狭く、両端から低木が繁り薮コギの感じであったが、今はまったく変わってしまっていた。道幅は1.5Mぐらいに広くなり、周りの樹は切り取られている。
 あまり整備されすぎると何となく不自然で歩いていても面白くない。地獄見物の観光客を矢岳まで呼び込もうとした計画の整備だろうか。それにしては普段の靴では坂が急で滑り易く危険な道である。
矢岳の山頂は無風状態で、また太陽を遮るものがなく暑かった。
 登山口から30分で山頂に着いた。11時15分、昼食には早すぎる。それにここでは木陰がなくて長く休憩するには不向きである。一旦山を降りて野岳に登ることに決まった。
降り始めると道幅の広くなった影響は登山者には悪い方に変わってしまった。

 急坂を降りるには回りに掴まるものがないと怖くて降り辛い。前に来たときは薮コギに等しかったから回りの草木に掴まり安心して降りた。しかし今度は違う。滑らないように、転ばないようにと気を使うと歩幅を小さくし時間がかかりすぎる。枯れた木を探し杖にしてやっと安心できた。

 登山口に着いて、次の野岳まで歩いて登るのかと思っていたら仁田峠までマイカーで行くという。
運転する人には歩いて30分のところに置いた車を取りに行ってもらった。あとの者は、申し訳なかったが木陰で休憩して待った。
野岳からはすぐ近くに平成新山が見える。いつになったら登れるのか。
 春、秋、霧氷の冬にはいつも満車の駐車場もシーズンオフでわずか数台停まっているだけだった。
駐車場から再び野岳に歩き始める。ススキの穂がかなり開いて風に揺れたいた。標高が1000Mを越すと秋の気配が感じられる。
野岳から眺めた矢岳
 10分で野岳のあずま屋に到着。ここで昼食にする。13時の遅い昼食になった。
 冷たいビールで乾杯。握り飯にかぶりつく。女性たちは、汗を出して細身になりたいと思って山登りをしているが、山で食べると食べ過ぎて、かえって体重が増えると嘆きながらももりもりと食べている。食後は寝そべって世間話する者、山頂の岩場に登り眺めを楽しむ者とそれぞれに1時間の休憩を楽しんだ。
温泉街から仁田峠まで循環する登山バス
 仁田峠の駐車場に戻ると、きょうの第二の目標は温泉である。
 いつもは雲仙の100円風呂だが、今日は小浜まで下りて前々から一度はいってみたいと思っていた『海上露天風呂』に決まった。
防波堤の上に目隠しがあり、海側に浴槽はある。
 雲仙から海岸にある小浜温泉街までは40分で辿り着く。
 広い駐車場は2台の車が停まっているだけ。閑散としている。その原因は入浴してはじめてわかった。海上露天風呂は橘湾に沈む夕陽を眺めながら心の疲れを癒す温泉だった。
 まだ陽が高い3時では入浴する人はいなかった。それでも湯船に浸かり海を眺めていると浴槽の下で消波ブロックに打ち寄せる波の音が聞こえてきて、さすがは海上風呂だと思った。
消波ブロックの上にある浴槽。前方の山は猿葉山
夕陽はこの写真の左側の橘湾に沈んでいく。
 公有水面の環境保全規制がきびしいのだろうか。石鹸使用禁止、トイレなし、休憩所なし、あるのは脱衣棚と浴槽だけ。長居は出来ない温泉だった。

 話の種に一度は入浴しておくのもよいかもしれない。
 ちなみに入浴料金300円である。

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