マンサクの花鑑賞山行(佐賀・長崎県境、多良山系)    

              平成12年3月12日  曇りのち晴れ

         自然保護協会主催 講師宮崎先生 参加者 17名

 オレンジ仲間が3人はいるが違うグループとの山行は緊張する。会費500円は安い。

 私は坂本さんの軽自動車に乗せて貰う。坂本さんは私よりも年配のようだ。

 黒木側から平谷トンネル(約2000M)を抜けるとその右側が、経ヶ岳登山口である。車から降りた標高600mのこの地点は寒く、吐く息が白くなる。 

 I さんの音頭で準備体操をしたあと、右手に沢の水の音を聞きながら登る。馬の背までは、黒木・大払谷・つげ尾経由よりも難所が少ないようで登りやすかった。

 どこのグループでも女性が元気だ。今日の花見登山は、17名のうち男は4名で4分の1である。登りながら女性の話はどこまでも続く。

 目的のマンサクの花は、私の見た感じでは2部咲きのようである。宮崎先生の説によると1週間あとが見ごろだとのこと。ではまた出直すかと簡単に来られないから残念な思いが強い。去年はすぐ近くの笹ヶ岳に来たが満開の時期に出会えて綺麗であった。毎年の気候の変化やずれで、満開のころに来るのはなかなか難しいようである。

 平谷越えで昼食をしていると、はるばるバスを貸し切って北九州からやってきた50名の団体さんが経ヶ岳めざして登っていく。

 宮崎先生の案内で、昼食のあとタワラギ山(1040m)にブナ林を見に行くことになった。シャーベット状になりかけた残雪を踏み、なだらかな道を歩く。植物学が専門である宮崎先生指導の観察会である。
 歩きながら樹の種類を教えてもらう。ブナ林に着くと先生は巻き尺を取り出し、ブナの幹まわりを測ってまわった。記録係は奥さんである。一人ではテープが回せないので私が手伝った。大きい幹は一人では測れないからこうして団体で来たときに手伝ってもらい調べるのだと言われた。ヤブをかき分け雪を踏み、くぼみに足を取られ転びながら大きなブナを目がけて歩き回った。

 大きなものは、目通りで1.30m、1.33m、1.44m、1.86m、2.08mもあり、こんなところにブナ林があるとは知らなかったし驚きである。今は落葉した時期で、見上げると梢は箒の先のように小さ枝が群がり広がっている。私が大きなブナらしき樹を見付け、
「先生、これ」と指さすと、
「違います」
 と言われる始末。梢がよく似ているようだが素人には見分けがなかなか難しい。

 私には雑草木にしか見えなかった草木の名前も教わった。後日ここに来てこれらの名前を当ててみなさいと言われても、それはできないだろうが、教えていただいた草木の名をあげてみると、

 ミヤマシキミ(花蕾がついていた)、カヤ、ハイのキ、イヌシデ、リョウブ、シロモジ、クロモジ、アカガシ、キャラノキなどである。私は、これまでアオモジもクロモジも同じもので、地方によって呼び方に違いがあると思い込んでいたがそうではなかった。またクロモジに対抗して名前を付けたわけでもないだろうがシロモジがあるとは意外である。

 平谷越えに戻り、経ヶ岳に登る。岩が露出した急な坂は前日の雨にぬれ、思いのほかの難行で緊張続きであった。頂上は春の陽が降り注ぎ風もなく、平谷越えの昼食を摂ったときのあの寒さが嘘のような暖かである。それでも山頂に備え付けの寒暖計は6度を指していた。山頂で出会った北九州から来たという男の人は、マンサクの花を期待して来たが早かったと残念がっていた。

山頂の岩のかけらをポケットに入れ降りる。下山の途中、宮崎先生は樅の木の幹の太さを調査された。幹まわり、3.06m、3.41m、3.44mと3mのものが多く、なかには4.35mもある大きなものがあった。

 これらのブナや樅の木の大樹は何年生き続けているのだろうか。200年、300年という単位で大地に根を張って生き続ける姿に圧倒され、人間の一生の短かさをしみじみと感じた「マンサクの花観賞登山」であった。
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